入社1年目に知りたかった、キャリアを“相対化”する視点——NewsPicks 野村高文・リクルート 塩見直輔

野村 高文/NewsPicksアカデミア マネージャー

塩見 直輔/株式会社リクルート 執行役員

近年、市場価値を高めるキャリアとして、「かけ算」というキーワードが雑誌・ビジネス書籍等に散見されるようになった。複数の専門領域を持ち、それを掛け合わせることが、“希少度”の高い人材になる方法としてさまざまな文脈で取り上げられている。

しかし現代は、ビジネス環境の変化が激しい時代。時間を投下して培ったスキルが、瞬く間に陳腐化してしまう可能性が往々にしてある。また、かけ算の土台となるファーストキャリアの選択方法にも、必勝法はない。

「正解がない」とも言われる時代に、私たちはどのようにしてキャリアパスを描いていけばいいのだろうか。

本企画では、異業種転職によってキャリアを築いてきた“かけ算”の第一人者たちにインタビューを実施。株式会社ニューズピックスの野村高文氏、株式会社リクルートの塩見直輔に話を伺った。

非ITからIT業界へと鞍替えをし、領域を定めず活躍するお二人に、キャリアのかけ算の意義と、若者が持つべきキャリア構築の指針について考察していただいた。

英語も話せない元馬術選手が、UCLAを卒業し、リクルートでデータの民主化に挑む理由

蔦田 慎史/株式会社リクルートライフスタイル ネットビジネス本部 事業開発ユニット
株式会社ブログウォッチャー プロダクトマネジャー

キャリアにおいて、他者と比較してしまうことは誰にでもあるだろう。自分で明確な軸を持ち、選択を重ねる。その重要性は理解しつつも、決して容易なことでないはずだ。

2017年にリクルートホールディングスに新卒入社した蔦田慎史は、これまでずっと、“自分軸”で意思決定を下してきた。中学校を卒業後、1年間日本全国を放浪。そこで出会ったサラブレットに“一目惚れ”し、馬術の世界へ。高校生活と並行して腕を磨き、全日本選手権で4位に入賞。

その後、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)へと進学し、卒業後はリクルートへ新卒入社。現在は、傘下の合弁会社で300テラバイトに及ぶ行動データを用いて「データ活用の社会実装」に取り組む 、株式会社ブログウォッチャーのプロダクトマネージャーを務める。

「大抵のことは、努力でどうにでもなる。だから、後悔しない選択の方が大切」だと蔦田は考える。自分の“好き”を追求し、活動域を定めず活躍する彼に、“自分軸”で生きるキャリアのつくりかたを聞いた。

楽しく働くために努力する。“やりたいことドリブン”で仕事を創り出す、異能人材のワークスタイル——博報堂・加藤喬大、リクルート・蔦田慎史

キャリア選択の岐路に立つとき、“大企業 or スタートアップ”の二項対立論が、必ずといっていいほどに語られる。

「大企業は縦割り主義で、やらされ仕事ばかり。優秀な学生は、スタートアップがファーストキャリアに向いている」
「大企業は育成を含めた社内制度が充実しており、スタートアップとは桁違いのアセットもある。本当に優秀な学生ほど、大企業が最適なファーストキャリアになる」

しかしこれらの意見は、「正しいようで、正しくない」
なぜなら、大企業に所属しながらスタートアップライクに働く、つまり相反する両極端を同時に実現するワークスタイルが実在するからだ。

本インタビューでは、株式会社博報堂が発足した「HAKUHODO Blockchain Initiative」の一員として、ブロックチェーンの社会実装に注力している加藤喬大氏をお招きし、リクルートに在籍する蔦田慎史と「所属にとらわれずに自分らしく働く方法」について語ってもらった。

彼らのワークスタイルを紐解いていくと、大企業に所属しながら“スタートアップライクに働く”ためのマインドセットと、それらを引き出す企業の文化とスタンスが浮かび上がってきた。

既知の職業で未来を考えてはいけない。環境選びと時間の使い方が、成長停滞を突破する鍵——Takram・田川欣哉、リクルート・小川健太郎【後編】

破壊的変化が定常的に起こるビジネスシーンにおいて、もはや「安定」な職業は存在しない。

ITビジネスの未来を担う若手人材が、変化の担い手になるためのスキルセットとは何なのか。また、そうした人材が非連続な成長を遂げるための組織とは、どのようなものか。

かねてより破壊的変化を生き抜く人材の要件定義「BTC(ビジネス、テクノロジー、クリエイティビティ)」のトライアングルを概念として提唱してきた、Takram代表でデザインエンジニアの田川欣哉氏は、自著『イノベーション・スキルセット』で、“越境”への強い意識を持つことこそが重要だと説いている。

株式会社リクルートライフスタイル ネットビジネス本部 プロダクトディベロップメントユニット ユニット長の小川健太郎は、2012年の入社以来、IT人材の発掘・育成に注力してきた人物である。「エンジニアはただコードを書いていればいいわけではない」という方針のもと、開発組織がテクノロジー領域のみならず、ビジネス領域へと越境する牽引者となった。


対談の後編となる本記事では、成長を遂げる人材の共通点と停滞を打破する方法、変化を起こし続けるためのマインドセットについてお話を伺った。