子育て社員も枠にとらわれず働ける。制度や周囲の理解も揃うリクルートの土壌とは

出産や育児などが視野に入ると、キャリアとの両立に迷う人も少なくないだろう。
好きな仕事を続けられるのか、キャリアアップが望めるのか、出産前と同じようにがんばれる自信がない……様々な不安な想いがある中で、理想のキャリアと理想のプライベートを両立するためにはどうすればいいのだろうか。
実際に子育てをしながら、リクルートでキャリアを積んできた女性社員3名の鼎談を行い、なぜそれが可能なのか、社内制度の活用や周囲の理解、仕事や家庭での工夫など、等身大のエピソードとともに課題をどう乗り越えてきたのか聞いた。

PROFILE

山本 望美

#ビジネス総合コース #HR領域 #顧客接点 #マネジャー

HR本部 中途Division 東名阪センター営業部
2009年、新卒入社。現在はHR領域の求人広告部門を担当。0円でカンタンに求人募集ができる採用管理サービス『Airワーク 採用管理』とタウンワークの営業部署で、都心部の新規顧客開拓をメインとした約40人の営業部をマネジメントする。また昨年度からは育成リーダーとして250人以上の新人を受け入れる部署でのマネジメントも行う。2017年に第一子を出産。

内田 怜七

#ビジネス総合コース #HR領域 #顧客接点

新卒Division 大学支援推進部
2009年、新卒入社。 現在は就職情報サイト『リクナビ』で、主に大学の媒体活用を支援する部署に所属。リクナビ副編集長として大学の就活ガイダンスでの講演、大学のキャリアセンターへの営業などを担当。2012年に第一子、2015年に第二子を出産。

小林 亜衣

#プロダクトグロースコース #結婚領域 #プロダクトデザイン #マネジャー

・プロダクト統括本部
・経営企画 事業統括室 販売管理部
2009年、新卒入社。 現在は結婚情報サービス『ゼクシィ』でクライアントが扱うシステムや、営業部門が使うシステムの企画・運用を担当。自動車・結婚・旅行領域の企画統括グループでマネジャーを兼務。2015年に第一子、2017年に第二子を出産。

仕事と育児を両立するなんて考えていなかった

山本望美(中途Division 東名阪センター営業部)

まずは、皆さんの現在のお仕事・役割を教えてください。

山本私はHRの求人広告領域でアルバイト・パート採用をメインとした『Airワーク 採用管理』という『Air ビジネスツールズ」の採用管理サービスと、『タウンワーク』の営業をする首都圏グループのマネジャーをしています。メンバーは40名ほどです。29歳のときにマネジャーになって以降、多少業務 は異なるものの基本はずっと新規顧客開拓営業のマネジメントと、昨年度から担当している新人育成業務をメインとしています。

内田私もHR領域になりますが、直近3年間は新卒者向け『リクナビ』に関わる大学支援の仕事をしています。『リクナビ』を学生に使っていただけるように大学に働きかけたり各大学のキャリアセンター支援や就職ガイダンスの要望を受けて行なったりする業務がメインで、リクナビ副編集長の一人として携わっています。

小林私は現在2つ兼務しているのですが、1つ目は、結婚領域でネット企画を担当しており、直近はクライアント向けシステムや営業が使う受発注登録などのシステム全般を担当しています。もう1つは、自動車・結婚・旅行領域のプロダクトの企画統括グループのマネジャーをしています。具体的には、これらの領域に関するキックオフイベントなどの総務スタッフ業務や人事・教育業務をしています。

内田怜七(新卒Division 大学支援推進部)

いま皆さんは仕事と育児を両立していますが、入社当時はどのようなライフプランを想定していたか教えてください。

山本新卒で入社した時は、リクルートで子どもを育てながら働くイメージは全くついていませんでした。明確なライフプランはなかったものの、子どもが生まれたら独立をして自由な働き方ができたらなと思い、出産するまでにしっかり働ける、キャリアを積める環境としてリクルートを選択しました。

内田私も山本さんと同じでこの会社で長く勤めて子どもを生み育てるみたいなことは考えていなかったですね。というのも、5年くらい社会人経験を積んだら次のステップとして、30才くらいで地元の広島で学校の先生になりたいと思っていたんです。そのため、広く社会を見る経験ができる民間企業で、20代のうちに活躍できるところがいいと思っていました。この話を素直に就活の時に伝えたときも「いいじゃん」と言ってもらえたこと、13年前の当時から性別に関係なく働けること、女性も多く活躍している社風に惹かれて入社しました。

小林私もまったく同じです。両立はハードで難しいと想像していたので、子どもを生んだら辞めるつもりでした。短い社会人人生でいかに大きく楽しめるか、みたいなことを考えていて。外資系投資銀行なども見ていたのですがリーマンショックの影響があったことと、何より会った社員が全員魅力的で、リクルートの「やれるところまでやってみなよ」というスタンスであればありのままの自分で働けそうだと思ったので入社を決めました。

気がつけば仕事が楽しくなっていた

皆さんリクルートで働きながら育児をしていくつもりはなかったのですね。なぜいま両立しながら働き続けているのでしょうか。

山本まずは仕事がすごく楽しくなってしまったから。入社して4年くらい経つとできることが広がって、自分がやりたいことと会社でできることが合致したんです。具体的には、いま所属している中途Divisionグループでは、より多くの採用マッチングを増やしていくことで世の中に貢献していくことにチャレンジしていますが、私は学生時代から「人とのつながりを大事にしたい」という想いがありました。それがこの会社で、今の業務で人とのつながりをつくっていきたいという想いと重なりました。仕事を辞めたり転職したりするよりも、リクルートでもっと自分の価値を発揮したくなったのが大きいですね。

もう一つは、結婚したタイミングくらいで受けた女性従業員向けのプログラム「Career Cafe 28」の存在です。キャリアに悩みがちな28歳前後の女性従業員が受講対象で、先輩女性社員や外部講師から、自分らしく活躍する方法などを学ぶ講演会なのですが、その時に聞いた話がとても衝撃的でした。働き続けることは自立して生きていく上ですごく大事だと思うようになって、改めて長い目で働くことを考えたときに、子どもを生むまでにキャリアを広げる方が裁量を持てるし働きやすいと思い、「この会社で管理職になりたいな」と目標がリセットされた感じです。

意識をそこまで変えるほど衝撃的なお話だったのですね。

山本そうですね。外部講師のメッセージが印象深いものがとても多く、私自身が明確に描けていなかった今後のことに対してハッと気づかされ、そこで意識改革されたと思います。講演では他に老後に必要な費用の計算をしたり、働き続けると生涯年収が大きく変わるという話を聞いたりもしました。そして、実際に仕事と育児を両立されている女性社員のエピソードも聞くことができ、一気に両立していくイメージが湧きました。

小林亜衣(プロダクト統括本部/事業統括室 販売管理部)

小林仕事ってどんどん楽しくなっていきますよね。私も気が付けば30歳手前になっていて。いろんな女性社員の先輩にキャリアプランについてお話を聞いていくうちに、「キャリアもプライベートも両方を大事にしていいんだ」と思えるようになったんですよね。家族が第一なのは変わりませんが、それでも楽しいと思える仕事を続けながら育児も両立していけるんだなと。リクルートはミッショングレード制であることに加えて、当時の所属グループが2016年にリモートワークや在宅勤務などを推進するフィジビリティを率先して行っていたこともあり、働き続けていける環境が整いリクルートを辞める理由がなくなっていたんですよね。

内田私は入社4年目の時に第一子を出産したのですが、その1年間の産育休中が自分の人生のモチベーショングラフの中でも一番底でした。知り合いが東京にほとんどいない、実家が遠いので両親も頼れない。子どもとべったりで育児だけをしている1年間を過ごしながら「仕事ができる環境は自分にとってすごく大切だったんだな」と気づき、早く復帰したい思いが芽生えて仕事と両立していくことに決めました。

復職面談をしたときに、上長から「期待しているよ」とさらっと言われたことが心に残っています。出産後に成長機会を得づらい、いわゆる「マミートラック」に乗せられることもなく、すごくフラットに私自身に期待してくれていると感じたんです。私は山本さんみたいにキャリアを積んでからの子育てではありませんでしたが、それでも戻ってこられる場所があって、かつ難易度の高いミッションを任せてもらえて次々と挑戦していける環境だったので、改めていい会社だなと感じました。

それと同時に、当時のママ友たちを見て、働き続けることに対して不安を抱えている女性の多さを知ったんです。「復職は今の会社だと厳しいから辞めようと思っている」などの声をよく聞きました。自分も当事者になったことで、「女性が働く喜びをもっと生み出していかないといけないな」と女性のキャリアの”不”に気づかされた1年でしたね。そういった経験を通じて女性活躍支援に携わりたいと考え、自分から手を挙げて部署異動し、そのテーマでミッションをつけてもらいました。それによって、私自身もやりたいことと担当業務が合致したので働き続けたいと思えたんです。

両立させようとすることで
「限られた時間をどう使うか、大切にしたいことは何か」が明確に

復職してから大変だったことなどはありましたか。

山本復帰直後がすごく大変でした。私は約2年と長めのブランクがある中でマネジャーとして復帰することとなったのですが、グループ内も異動などでメンバーがほとんど変わっていました。戦略の立て方など自分の仕事の仕方も忘れかけている中、時短勤務という時間の制約もあり、なかなか成果が出せませんでした。メンバーとのコミュニケーションに多くの時間を割くこともできず、自分の生活リズムもうまくつかめない。本当はもっと早くに自分の働き方の方針やプロジェクトの進め方を決めていればよかったのですが、そういうのをすっかり忘れたまま丸腰で戻ってしまったので苦労しましたね。

内田やはり時間の制約を受けたことは大きいですよね。復帰後はリクルーティングアドバイザーをしていましたが、やればやるだけ成果が出ることはわかっていました。しかし自分は時間の制約があり、それはできない。そんな中でビジネスプロセスにおいて何を重点的にやったらいいかを意識するようになり、効率化していくことができました。自分の強みが発揮できる部分でもあり、業務工程で大事なポイントでもある「求人票ヒアリング」という前工程に特に注力をして、逆に、それ以外で効率化できるところを見極め、深く入り込まない業務を切り分けて、周囲にも伝え理解を得られるよう進めていました。

仕事と育児を両立していくための工夫は必要ですね。

山本外部リソースでいうと、「ファミリーサポートセンター」という自治体の制度を利用して、会員の方に子どもを見てもらったこともありました。担当者がたまたま元リクルートの方だったので、「期末の時期は忙しいよね、お迎え遅くなってもいいよ」と言ってもらうなど、理解があり助かりました。

仕事では業務の基準を決めておき、「この基準の中では自由にやっていいよ」とメンバーに伝えることで、みんなが自然と判断基準を持てるのでマネジメントがスムーズになります。

内田認識を合わせておくことは大事ですよね。私は事業目標に解せない点があれば上長とすり合わせに行き、場合によっては「自分はここではなく別の業務で成果を出します」と率直に伝えて、業務の再配置をしてもらうなど、納得感をもって取り組めるように意思表示をすることは意識しています。

この先ずっと時短で働くわけではないし、子どもの年齢でも変わってくるので、自分の中で成長するためにギアを入れる時期とバランスを重視する時期を半期ずつ明確に分けるようにしています。それを会社にも家族にも伝えるので、周囲も把握してくれています。健全に伝えられる環境があると同時に、半期ごとにドライブをかけられることで「仕事に全力投球できなくとも今は仕方ない」とも思えるので、両立していく上では自分で切り分けて考えるのが大切かなと思います。

小林私は家事:育児:仕事=3:3:3で、必ず1のバッファを残すようにしています。これは気持ち的にも時間的にも大事だと思っています。仕事の資料を作らなきゃとか、子どものハロウィンで衣装を準備しなきゃとか、毎日何かしらの山がある中、突然イレギュラー事象が発生した時に、バッファがあれば自分や家族の時間を適材適所で合わせられます。その中に収まらないものはアウトソースする、などの判断をしています

「Career Cafe 28」や「Be a DIVER!」での学びは
仕事、育児、家庭にもフル活用

リクルートの社内制度はどのように活用してきましたか?

山本先ほどお話した「Career Cafe 28」のほか、ダイバーシティ推進プロジェクト「Be a DIVER!」では多様性の理解と受容の促進に向けたセミナーが頻繁に開催されていて、自分の都合のいいタイミングで受講できるのですが、私は活用することが多く、思考面でとても影響を受けました。その時々で子どもに対して悩むこともあるのですが、ライフステージに合わせたセミナーに参加できて、妊娠中からの保育園の探し方や、仕事と子育ての両立の仕方、2歳児のイヤイヤ期の声掛けの仕方、家庭内ルールづくりなど役立つ情報が多く、そういったことまで会社の取り組みの一環として学ぶことができるので非常にありがたいです。

内田私は一人目を産んでから「Career Cafe 28」を受けましたが、女性活躍のプロジェクトをやっていたときも、ここで学んだ考え方を生かしていましたね。当時は大手企業の見学者も多くいて、リクルートはダイバーシティに関しては先進企業なんだなと思ったのを覚えています。

小林私もすごく影響を受けましたね。まだ自分が直面していないことに対して不安を抱いて悩むこともあると思うのですが、「不安おばけにとらわれないようにする」といったお話はとても印象的でした。本来なら外部でお金を払わないと得られないような情報を社内プログラムに参加することで得ることができて、自身の成長につながっていく。仕事でも子育てでも人生を豊かにするために色々な支援をしてくれているリクルートの仕組みは素晴らしいと思います。

フラットでありながら温かい、周囲の理解や協力体制

周囲の理解やサポートはどうだったのでしょうか?

小林私は入社して1年目は『カーセンサー』の営業をしていて、2年目で商品企画、それ以降も『ゼクシィ』のWEB企画や企画統括などを担当してきています。複数の領域と職種を経験している方だと思いますが、その間に2人の子どもの出産・育児もしています。周囲の理解や協力体制はどのキャリアステップの時でも共通してウェルカムな空気感で、必要以上に特別視され意識して気遣ってくれているというのがいい意味で全くなく、いろんな人がいて当たり前、という環境でした。

内田私は、従業員の家族をオフィスに招待する「ファミリーデー」に子どもを何度か連れてきているので、グループメンバーは私の子どもが誰かというだけでなく、どんな雰囲気の子なのかも含めてよく知ってくれています。そのため、子どもが熱を出して会社を休まないといけないときも心の底から心配してくれます。大きな会社ですがアットホームなんですよね

山本とても自然に協力してくれますね。私は子供との夜の時間を大切にしたいので16時半以降は仕事が入らないように調整しています。もし会議が入って、自分がリアルタイムで出席できない場合にも、「あとで録画をみてくれたらいいよ」と理解してくれる。周りの理解があるからこそ私の理想の育児が実現できます。

また、リクルートはこれまでも暦の休日とは別に会社独自の休日はあったのですが、2021年の4月には、さらに会社独自の休日を増やしています。自分で取得日を決められる休日が増えたので、誰かしらが平日にお休みをとっていることがよくあるため、子どもの有無に関わらず、よりチームの中での協力体制が進んでいると感じます子育てが特別なんじゃなくて、柔軟に業務と休日をアレンジできて自分のライフスタイルを作ることができる。あとはフルフレックスタイムやリモートワークが導入されていることもあり、急な子どもの体調不良にも対応できたり、出社の必要がある日でも夜ご飯など子どもの生活習慣を崩さないように朝に仕事を進めたりできるなど、業務調整しながら柔軟に対応できることも助かっています。

「ワーママ」という括りではなく、
多様な人が多様な働き方を認め合う環境

子育ての有無ではなく、いろんなバックグランウンドを持つ皆が互いの状況や働き方を受け入れているのですね。

小林リクルートでは個々人が置かれている状況を特別視しない文化やコミュニケーションケアが特にこの2年くらいですごく広がった感じがします。ダイバーシティがすでにもう一段進んだのだと感じます。LGBTQについてもそうですし、結婚や子ども、介護についても、様々な状況下で働いている人がいる。いろんな人がいろんな想いをもって働ける場であり続けよういう意識がリクルート全体にある気がします

山本リクルートでは、育児と仕事を両立する存在は珍しくなく、「ワーママ」という言葉もあまり使われていないですよね。 コロナの影響でより時間も場所も制約がなくなっているし、ますます多様な人が多様な働き方ができる環境になっているなと感じます。

小林今年導入された交通費の実費請求については、遠方通勤だとしても1日上限5,000円までなら新幹線・特急利用していい、というのも衝撃的でしたね。皆けっこう移住し始めてますし。

内田私の部署も岡山在住・大阪勤務とか、長野在住・東京勤務をするメンバーがいます。

山本東京でのアポイントの日をまとめるなど、実現するには仕事の段取りや成果へのこだわりをより追求する必要があるけど、工夫して地元の栃木に戻った人もいました。

内田兼業をする人も比較的多く、社外で別の所属や立場を持つことが特別ではないですよね。子育てする社員についても、「ワーママ」としてではなく多様な人のうちのひとりとして捉えられているように感じます。社員それぞれの状況を受け入れる土壌がある。だからこそ、ママたちも後ろめたさなど感じることなく、快適に仕事に取り組めているんだと感じます。

小林どのフェーズでも悩んだ時に常に親身になって一緒に考えてくれる環境や、支えてくれる制度があることが、リクルートの最大の魅力かなと思います

ある日の一コマ

会社のお花部での作品

リクルートの部活動で、月一のお花部に参加しています。オンライン開催なので、息子と一緒に楽しんで参加しています。お花は在宅勤務の癒しです。(山本 望美)

城好きの息子との会話

在宅ワークになり、小3の息子との会話も増えました。最近は城にハマっていて、全国の城の特徴について教えてくれます。これから城巡りに繰り出す予定!(内田 怜七)

在宅ワークの裏側にて

我が家にはうんてい・鉄棒・跳び箱などがあります。リモート会議中に「うお!」と私が叫ぶときがあり、実は裏で娘たちが技をくりだしていたりします(笑)(小林 亜衣)